スコットランド版ウィキペディアの改竄?と少数言語話者の苦悩
昨日くらいからスコットランド語のウィキペディアの内容がめちゃくちゃなスコットランド語で書かれていたと言うニュースが流れている。
Wikipedia管理者の1人であるAmaryllisGardener(アマリリスの園芸家)という人物は「スコットランド語を話せない」にも関わらず、スコットランドのWikipediaで2万3000件以上の記事をたった1人で執筆・投稿し、20万件以上の記事を編集しました。AmaryllisGardener氏が関わったほぼ全ての記事がスコットランド語と英語が混ざった稚拙な文章であることが明らかになり、大きな問題となっています。
それらの記事を書いていたのはアメリカ人で12歳位から10年以上、スコットランド語のウィキペディアのページを多数編集していたそうだ。英語やドイツ語それで日本語といった話者が多数いる言語であれば、自然と修正されるのがウィキペディアの良いところだ。
しかしスコットランド語に至ってはそうでは無い。そもそも話者が少ないらしい。
そこで思い出した本がある。
「銀河の片隅で科学夜話」と言う本だ。
この中ではスウェーデン語とフィンランド語の関係について触れており(確認したらスコットランド語での話ではなかった)、スウェーデンの中で6%の人のみが話すスウェーデン語は、フィン事は全く違う言語体系を取るらしい。
スウェーデン語はドイツ語などのヨーロッパ系の言語と同系統であり(インド・ヨーロッパ語族)、フィン語はそれとは全く別系統らしい。
本書では面白い事実が示されている。
フィン語では事象の関係を名詞の格変化によってしか示せないのに対し、スウェーデン語では英語同様、前置詞や後置詞を駆使することで、事象同士の時間的な関係を常に明確に示すことができる。たとえ、それが日常会話であっても。
このおかげで複雑な工程を伴う手順の説明については、スウェーデン語の方が適しているため、実際の事故率もスウェーデン語話者の方がフィン語話者よりも、4割程度低いのだ。
イヌイットかどこかの言語では「白」を表す名詞が何百通りもあると聞いたことある。
文化的な背景が実際の言語体系に影響を及ぼし、それがまた日常生活や仕事等に影響及ぼすと考えると面白い。
今回読んだ本
書名: 銀河の片隅で科学夜話
著者: 全卓樹
EoE